アルカリ金属の実験



  (1) ナトリウムとその化合物:

  @ 金属ナトリウムの実験: 危険・取り扱い要注意!  金属のナトリウム(英語でSodium、融点:97.7℃、沸点:883℃、比重:0.97、クラーク数2.63%)は、代表的なアルカリ金属で、電気陰性度(0.93、ポーリング)が低く、酸素、水、ハロゲン、アルコールなどと激しく反応する。 工業的には食塩と塩化カリウム(融点を下げる)の混合物を溶融電解して製造される。
  実験室的に簡単に作る方法はないが、炭素棒電極による溶融塩電解では、陰極にナトリウムが生成すると同時に燃焼するのが見られる。 また、食塩水の水銀陰極による電解では、ナトリウムアマルガムが生じて、比較的安定に水銀との合金を作ることができる。(金属ナトリウムそのものは水銀と接触させると激しく発熱して溶け込む。) ナトリウムアマルガムを水に入れると、水素を発生して水酸化ナトリウムが水中に放出される。これは、”水銀法”として、苛性ソーダを工業的に製造する方法の一つだった。

  試薬としてのナトリウムは、酸化を防止するため石油中に沈めて保存されている。水と激しく反応するので、絶対的に禁水であり、取り扱いには乾いたピンセットなどを用い、決して素手で触ってはいけない。消火は乾燥した砂をかけて行なう。 水に投入する実験をするときは、小豆大程度にし、決して大きく切ってはならない。 また、余った分はすみやかにビンに戻し、小片や器具に付着したナトリウムの処理は、アルコールに漬けてアルコラートとして安全に処理する。

  鉄皿の上で燃焼させると、過酸化ナトリウム(Na2O2)が生じる。 過酸化ナトリウムは、水中で分解して過酸化水素が生じるので、漂白剤として用いられる。(超酸化ナトリウム(Na2O4)は500℃300気圧以上で生成する。また、ナトリウム単体は200万気圧の超高圧下では、最外殻電子が押し込められ 金属光沢を失い透明になる。)

  ナトリウムの炎色反応は、Na D線(D1: 589.6nm、D2: 589.0nm)の強い黄色であり、トンネルなどのナトリウム灯(黄色をよく感知する視覚上の特性、霧や煤塵などが多い空気中の透視性向上)に用いられる。磁場中でスペクトルが分裂する”ゼーマン効果”はこのNa D線を用いて発見された。



  A 炭酸水素ナトリウム(重曹)の作製: 炭酸水素ナトリウム(重曹、NaHCO3)は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)と共に、ソーダ工業(ガラス、石鹸、洗剤添加剤、食品、医薬品、消火剤、その他アルカリを必要とする産業)の基本的な製品の一つである。

  昔は、食塩に硫酸を加え加熱して塩酸を製造した後の残渣の硫酸ナトリウムを原料とし、これにコークス、石灰石を混ぜ強熱して、硫化ナトリウムを経て炭酸ナトリウムを含む灰(ブラックアッシュ)とし、水で浸出して作られていた。かなりの未反応の硫化ナトリウムを含んでいるが、炭酸ナトリウムの十水塩(洗濯ソーダ)に結晶化させることにより精製した。(ルブラン法)
  現在は、飽和食塩水にアンモニアを飽和させた液(アンモニアかん水)に炭酸ガスを吹き込んで製造される(ソルヴェー法、E.Solvay、1866)。炭酸ガスは石灰炉から供給され、出来た石灰はアンモニアの再生に用いられる。 また、苛性ソーダ溶液に炭酸ガスを吹き込んでも作ることができる。塩化ビニルなどの塩素の需要が多い現在ではこちらのほうが主流となっている。
  また、アメリカ・ワイオミング州のトロナ鉱石をはじめ、ケニア、エジプトなどの”天然ソーダ”の豊富な資源が発見され、ソルヴェー法による生産は少なくなっている。

  炭酸水素ナトリウムは、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)の酸性塩であり、60℃以上(実際は400-500℃)に加熱すると炭酸ガスを発して分解しはじめ 炭酸ナトリウムになる。
        2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O

  炭酸ナトリウム(Na2CO3)の10%程度の水溶液に消石灰(Ca(OH)2)を加え よく攪拌すると、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ、NaOH)ができるので、その上澄みを傾斜して取る。この場合の苛性化率は90%くらいで、溶液が薄いほど反応が右に進行する。(* 通常、苛性ソーダは、食塩水の 隔膜を介した電解によって製造される。(隔膜法))
         Na2CO3 + Ca(OH)2 → 2NaOH + CaCO3

  ・ ソルヴェー法(アンモニアソーダ法)の実験: 飽和食塩水約50mlを100cc三角フラスコに取り、濃アンモニア水(28%)約50mlを入れた300ml平底フラスコを穏やかに加熱し、発生したアンモニアを三角フラスコに導き、よく振り混ぜ吸収させてアンモニアかん水を作る。(注: 戸外で行なう) 一部、食塩が沈殿するので、その上澄みを取る。
  (* 炭酸水素ナトリウムは、沈殿として溶液の系外に出ることによって、反応が右に進行する。したがって、単に濃アンモニア水を飽和食塩水に混合して炭酸ガスを通じるだけでは、飽和に達せず沈殿しない。 また、飽和食塩水に、固形の炭酸アンモニウム(実際は、炭酸水素アンモニウム)を加え、よく攪拌することによってもできる。)
  次に、炭酸ガス発生器から、炭酸ガスをアンモニアかん水に導く。しばらく炭酸ガスを通じていると、ある時から急に白濁して炭酸水素ナトリウムが沈殿してくる。(注: 導通する炭酸ガスの量は結構必要で、今回使った200ccの炭酸ガス発生器は、1〜2回中味を取り替えなければならなかった。炭酸ガスボンベがあればそれに越したことはない。)

       NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NaHCO3 ↓ + NH4Cl




  (2) カリウムとその化合物:

  @ 金属カリウムの実験: 危険・取り扱い要注意!  カリウム(英語ではPotassium、融点:63.7℃、比重:0.86、電気陰性度0.82、クラーク数2.4%)もナトリウム同様取り扱いには注意を要する。カリウムは、ナトリウムよりも柔らかい金属で、さらに激しく水や酸素と反応する。水に投入した場合は、赤紫色の炎を上げて激しく燃える。 また、カリウムは空気中で激しく燃焼し、黄色の過酸化カリウム(K2O2)、橙黄色の超酸化カリウム(K2O4)を生じる。超酸化カリウムは炭酸ガスを吸って酸素を放出するので、酸素マスクや、潜水艦・宇宙船などの酸素源として用いられる。 また、ナトリウムとの合金(NaK)は融点が低いので原子炉の1次冷却材に用いられる。

  カリウムは、カリ長石などとして広く地殻に含まれているが、カリウム資源としてはすべて塩化カリウムの形(カーナリット(KCl・MgCl2・6H20)など)で採取され、95%が肥料用に、5%が炭酸カリウムなどの化成品製造に用いられる。

 

  A 木灰から炭酸カリウム、硝酸カリウムの作製: 木灰には、5〜10%程度の炭酸カリウムが含まれている。(* 木材1kgから25gしか木灰が取れない。 また、水洗されて、カリウム分が抜けてしまったものも販売されているので注意)
  木灰を水に溶いて”灰汁(はいじる、あくじる)”を作り、これを濾過して煮詰めると、粗製炭酸カリウム(K2CO3)ができる。さらに、これにやや過剰の硝酸を加えて中和し、濃縮して放冷すると 割合純粋な硝酸カリウム(硝石、KNO3)の結晶が析出してくる。

  炭酸カリウムは、アルカリ性なので伝統的な染色に用いられる。また油脂を鹸化する働きがあり、天然ソーダと共に、昔から洗濯に用いられた。(カリウムの英語名・ポタシウムPot-assi-umは、”灰の壷”から来た命名) また、硝酸カリウムは黒色火薬や花火、肥料に用いられる。
  * 硝石は、空中窒素固定法による硝酸製造が行なわれる以前は、動物の死骸や糞尿をカリウムを含む土と混合し、亜硝酸菌と硝酸菌の作用により、雨がかからないようにして長い年月放置して製造された。(硝石園法) またその後は、チリ硝石(NaNO3)に塩化カリウムを加え 複分解して製造されてきた歴史がある。(現在 チリ硝石は、グリーンランドの氷晶石と同様に、ほぼ資源枯渇した。)




  (3) リチウム・他のアルカリ金属:

  @ リチウムの実験: リチウム(Li、原子番号3、融点:180.5℃、比重:0.535、電気陰性度0.98、クラーク数0.006%、酸化還元電位:−3.040V(全元素中 最も低い)、炎色反応:赤)は、自然界に広く分布し、植物(特にタバコ、茶)に濃縮している。 金属リチウムは無水塩化物の溶融電解によって製造される。
  金属リチウムは、ナトリウムやカリウムなどよりも穏やかに水や酸素と反応し、リチウムとその塩の化学的性質はアルカリ土類金属(Mg、Ca、Baなど)に近い。リチウムの小片を水に投入すると、発火も溶融もせずに水素を発して水の上を動き回る。リチウムを加熱するとよく燃える。( 注意) ガラスの試験管に金属リチウムを入れて加熱すると、ガラスと反応して激しく燃焼し、試験管を破損する。)

  リチウムは、原子量が小さく軽量で、酸化還元電位が最も低いので、電池としての用途が大きい。電気自動車や電気機器などの電池(一次:リチウム電池、二次:リチウムイオン電池)用に多量に用いられ、その他、合金、有機リチウム化合物の製造、結晶化ガラスや釉の成分、医薬品などに用いられる。 リチウムは地殻に広く分布していて、工業的に採算が合う鉱山資源(塩湖かん水や鉱石など)の埋蔵量も、将来の枯渇の心配が無いほど充分にある。しかし、レアメタル並みに世界にきわめて偏在し、政治的な問題もあるので、その最大消費国である日本(2008年、純リチウム換算分の輸入:13194t)は資源獲得のために積極的に働きかけている。(南米ボリビア・埋蔵量1位) 海水からの採取技術も、国内で本格的に研究が進められている。

  ・ 塩化リチウムの濃溶液に、中性〜アルカリ性で 濃い炭酸カリウム溶液を加えると、溶解度の低い炭酸リチウム(LiCO3、1.33g/100ml水)がゆっくりと沈殿する。この反応は、鉱石からリチウムを分離するときに用いられる。

              2 LiCl + K2CO3 → Li2CO3 ↓ + 2 KCl




  A 炭酸セシウムの実験: 他のアルカリ金属として、ルビジウム(Rb、原子番号37、融点:39.3℃、比重:1.53、電気陰性度0.82、クラーク数0.03%、炎色反応:赤)、セシウム(Cs、原子番号55、融点:28.4℃、比重:1.88、電気陰性度0.79、クラーク数0.0007%、炎色反応:青紫)がある。(フランシウム(Fr、原子番号87)は半減期が非常に短い放射性元素)

  ルビジウムは、(セシウムもそうであるが、)低濃度ながら自然界に広く分布し、特に、植物にカリウムと共に吸収されやすく植物体にかなり含まれる。乾燥試料を希塩酸で振とうして抽出され、原子吸光法(780nm・赤外に近い赤)でルビジウムが容易に分析できる。また、自然界に27.8%存在する 87Rbは、87Rb → 87Sr のようにβ-崩壊(半減期470億年)する。これは、40K、238U と並んで、半減期が長すぎるため 全く使用に適さないにもかかわらず、岩石の年代測定に無理やり用いられ、進化論を支持する証拠として吹聴されてきた。
  セシウム133(自然界100%・非放射性)はセシウム原子時計に用いられる。(国際単位系の”秒”がこのセシウム原子時計によって定義されている。セシウム蒸気のうち基底状態のものにマイクロ波を当て、スペクトルの吸収線の量から正確な周波数のマイクロ波を決定する。10-11(3000年に1秒)から10-15(3000万年に1秒)程度の誤差。)

  炭酸セシウム(Cs2CO3)は、蓚酸セシウムを加熱分解して作られる。これは潮解性の固体で、水に非常によく溶ける。(260g/100ml水) 塩化セシウムも溶解度が大きい(162g/100ml水)。
  塩化セシウム(CsCl)は、導電性ガラスの製造に用いられる。生化学分野では、分子量(式量)が非常に大きいDNAの遠心分離を行なう際に、CsClの分子量が大きいことを利用して、沈降速度がブラウン運動と釣り合う”沈降平衡”の層を作り出し、DNAの分子量に応じてコントロールするために広く用いられている。(普通の細胞組織やたんぱく質では ショ糖が用いられる。)

  セシウムの炎色反応は、薄い青紫色。
   



           * 宇宙と地殻の元素の起源について:


  原子核は、陽子(プロトン、p)と中性子(ニュートロン、n)の組み合わせで構成されている。この原子核が電子(エレクトロン、e)を周りに着て、(基底状態としての)電子軌道を一意的に決めてしまう。 ”化学”とは、最外殻電子の物理と言うことができ、この電子によって、多彩な化合物が形成される。(希土類のように、内側の電子が変化してそれぞれの特性を現わす場合もある。)

  原子核の 比結合エネルギーを見ると、鉄(Fe)(また、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)も、)の原子核で最大となり、エネルギー的に 鉄が最も安定な核であり、それに準じて、軽元素領域では ヘリウム(He)、炭素(C)、酸素(O)などが、また、重元素領域では、鉛(Pb)が、それぞれ準安定状態である。 ・・・ まさに、”鉄のスクラム”を組む 鉄核(?)

  スペクトル分析による宇宙の元素の存在比を見ると、やはり、ヘリウム、炭素、酸素、そして、鉄、鉛などのところでピークを持つ。このことは、原子核が形成された時、エネルギー的に自然とできやすい原子核が多くできたということを物語っている。

  一方、(現在はあまり用いられないが、一応の目安として、)地殻に存在する元素の比率 ・・・ ”クラーク数”を調べると、ヘリウムはすぐに抜ける気体であるから除外して考え、その他の元素に対しても同様の傾向が見られる。



  さて、元素の起源、ひいては、この大宇宙の起源としては、どのようなメカニズムが考えられるだろうか?

  現在、世界中で流布している考え方、”ビッグバン説”によると、宇宙の最初に、(謎の)インフレーションを起源とする大爆発が起こり、それが膨らんで大宇宙となったというのである。なるほど、最初、素粒子などの物質が少なく、質量の無い光子が多ければ、宇宙は膨らんだと言える。ただし、”平坦性問題”として知られるように、(物質)/(光子)のバランスは 1±10-15 以下でなければならず、非常にシビアである。 だから、膨らんだ始めのときは、今ある原子核などは存在できず、せいぜい、陽子(すなわち、水素の原子核)などの素粒子のみが存在し得たことになる。

  それから、膨らむにつれ宇宙が冷え、重力によって水素が集まり、核融合をする燃焼体、すなわち、”星”が誕生する。 今ある、水素より重い あらゆる原子核は、星の燃焼によって作り出されたことになる。水素が集まり高温高圧になると、核融合が起こりヘリウムが生成する。(ヘリウム反応)

  ・ 質量が太陽以下の星では、p−p連鎖反応によって水素からヘリウムが作られ、
       H + H → H(重水素) ・・・ 律速(109年)
       He + H → He
       He + He → He ・・・ pp1反応(1000万〜1400万K) ・・・ ヘリウム(He)の形成
       He + He → Be ・・・ pp2反応(1400万〜2300万K)) ・・・ ベリリウム(Be)、リチウム(Li)の形成 ・・・ (ほとんど仮想的反応。一説による9%も行っていない。)
         ・・・・・・・         ・・・ pp3反応(2300万K〜)) ・・・ ホウ素(B)の形成 ・・・ (仮想的反応)

  ところが、下2つの反応は特に高温で反応が進むと考えられる”仮想的な”反応であり、太陽の内部温度は、(エネルギーの輻射量から計算して)中心部でも せいぜい 1500万K程度で、原子番号が3〜5の原子核である リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)の生成量はヘリウムに比べて極端に少ないと考えられる。質量がもう少し大きくなると、これらのリチウム、ベリリウム、ホウ素を飛び越えた元素群が生成する 別のサイクルが稼動する。 したがって、星の燃焼反応では、これら原子番号が3〜5の元素は生成し得ない。まして、それらが宇宙にばらまかれる機構は存在しない。


  ・ 太陽よりも質量が大きい星(〜3倍まで)では、CNOサイクルが起こり、主反応は、 4H → He であり、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、フッ素(F)などはサイクルに介在する触媒のような働きをする。

  ・ 質量が太陽の3〜8倍までの星は、炭素反応まで起こり、炭素(12C)までの各種元素が生成する。

  ・ 質量が太陽の8〜11倍までの星は、この炭素(12C)とヘリウム核(=α粒子)と反応して、逐次、質量数が4つおきの原子核が生成し、酸素(16O)、ネオン(20Ne)、マグネシウム(24Mg)、ケイ素(28Si)、・・・、クロム(48Cr)を経て、鉄(52Fe)が生成し、この鉄(52Fe)がさらにヘリウムと反応し、ニッケル(56Ni)を経て、最終的には、安定した鉄(56Fe)にすべて落ち着く。(アルファ反応) この星は、燃え尽きた時、重力崩壊して、鉄主成分の”白色わい星”になる。
  変光星に見られる”赤色巨星”は、ヘリウムに点火したもので、直径が太陽の10〜数100倍にもなり、スペクトルより、C、N、O、Tiなどが観測され、中には重金属を含むものも存在する。 燃焼が終了して静かに収縮した”白色わい星”は、ヘリウムが外側の大部分を占め、鉄までのいろいろな元素が観測されている。(中心部は鉄のコアになっていると考えられている。)

  ・ ところが、質量が太陽の10倍以上の星になると、各種の反応が起こり燃焼温度が上昇して放射圧により大きく膨らんだ赤色巨星が、燃焼が尽きて一気に収縮する際、非常な高温・高圧となり、大爆発を起こす。これが、”超新星爆発”であり、宇宙に 鉄以降の重元素がばらまかれる原因と考えられている。このとき、放射性の重元素も中性子吸収などで作られ、崩壊の結果、最終的に安定な 鉛(Pb)に落ち着くとされる。ただし、半減期は宇宙の年齢より長いものが多い。 一方、中心部は極端に押し込められ、核力によって支えられる”中性子星”になる。この星は、元 鉄核を材料とする 一つの巨大な”原子核”のようになっているはずである。
  ・ さらに質量の大きな星が超新星爆発すると、その中心部は核力をも超えた圧力を受けることになり、一点に潰れて”ブラックホール”になると考えられている。


  以上が、現在考えられている 星と元素の起源であるが、宇宙の年齢が150億年という時間を考えてもかなり無理がある

  太陽の年齢は、50億年と考えられ、寿命は数100億年といわれている。 太陽よりも大きな星の寿命が短いとはいえ、いったい、宇宙の年齢150億年の間に、何サイクルの星の誕生と大爆発が起こることができるだろうか?
  超新星爆発の観測頻度は非常に低い。これによりばらまかれる頻度が非常に低いということである。さもないと、宇宙は爆発の残骸の”ゴミ”だらけになってしまうだろう。 そしてばらまかれる宇宙の領域が極端に広い。これは、鉄隕石が落下する頻度が低いことにより明らかである。
  ・・・・ 先にも述べたとおり、初期宇宙で ほんの少しでも物質優勢になると、全体が潰れて”ビッグクランチ”になるから、宇宙の初期に重元素ができたのではない


  因みに、(1) 重元素が宇宙にばらまかれる主な原因と考えられている 超新星爆発の残骸は、12万年以前に爆発したはずのものも5000個以上は見つかる(すなわち、望遠鏡(光学、電波)で見えるほど温度が高く、宇宙との放射平衡に達していないはずであるが、なんと、12万年以前のものは未だ発見されていない。( → 失われた残骸のミステリー

  また、(2) 月表面の宇宙塵の厚さは、わずか数mmであり、5000〜6000年分しかない! 46億年と見積もれば数10mにもなるはずで(by. テキサス大、ハロルド・S・スラッシャー)、人類で初めて月面歩行したアームストロング船長もTVのインタビューで驚きを表した。 この薄い層の下には堅い岩石層(宇宙塵を含有する、灰長石主体)が数m存在している程度であり、月の年齢が非常に若いこと、また、宇宙から飛んでくるちりの量も非常に少ないことを示している。

  そして、地球の年齢、すなわち、地殻が固まってからの年齢が45億年??? 矛盾だらけである! 月による潮汐力によって、月は次第に地球から遠ざかりつつあり、逆算すると、約15億年前には月は地球にくっついてしまう。(by. サウスカロライナ大、ダニー・フォークナー)



  したがって、星による元素生成の矛盾というポイントから、

  地球の地殻には、@ 原子番号が3〜5の元素である、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)が多量に存在する。

  A 鉄以降の重元素が、かなり広範囲に混練されて存在している。特に、鉄以降の原子番号を持つアルカリ金属である ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)の混練具合と、(クラーク数によってではあるが、)ルビジウムの量がリチウムよりも多いことから、超新星爆発に伴う残骸の宇宙飛来説は考えにくいことである。他の重元素も、局所的に集まっているものもあるが、すべての元素がある程度は存在している。
  ・・・ 地球の核を形成し、地殻で鉱脈ができるほどの大量の重元素が、いったい 何回、超新星爆発を起源とする宇宙からの飛来物として地球にぶつかり混錬されたのだろうか? 考えようがない!

  * クラーク数よりも最新の元素存在度のデータを用いることが望ましいが、一応大まかな目安として、多いものから順に、
  酸素49.5%、ケイ素25.8%、アルミニウム7.56%、鉄4.70%、カルシウム3.39%、ナトリウム2.63%、カリウム2.40%、マグネシウム1.93%、水素0.83%、
  チタン0.46%、塩素0.19%、マンガン0.09%、リン、炭素0.08%、硫黄0.06%、窒素、フッ素、ルビジウム(37)0.03%バリウム(56)0.023%
  ジルコニウム(40)、クロム、ストロンチウム(38)0.02%、バナジウム0.015%、ニッケル、銅0.01%
           (赤字は、鉄(原子番号26)よりも番号の大きな元素、 ( )内は原子番号、ニッケルと銅は鉄と近接しているから除いた)



  ∴ 結論:  唯一、矛盾のない宇宙と地殻の起源の考え方は、約6000年前に、「神様」がほとんど同時に 宇宙のすべての物質を「創造」された、ということである!



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